滋賀県には全国で唯一のバルブの地場産地が彦根市を中心に形成されています。このバルブの主要材料である銅合金鋳物CAC406は鉛の効果により、鋳造性や被削性に優れた大変便利な銅合金です。しかしながら鉛は人体に有害であり、その鉛が水中に溶け出すことが問題となっており、鉛の溶出対策が求められています。
そこで、滋賀県は、滋賀バルブ協同組合、関西大学と共同で、鉛の代わりの機能を期待できる硫化物を使った新しい鉛フリー銅合金を開発しました。硫化物は溶湯中で分離してしまうため、鋳物中に均一に分散させることは困難でした。しかしビワライトでは成分を最適化することで、鋳物中に硫化物を均一に分散させることに初めて成功しました。ビワライトの鋳造性、強度、伸びはCAC406と同等であり、被削性もCAC406に近い性能を有しています。また硫化物は鉛と異なり水道水中でも安定であること、さらに流水中の腐食であり、銅合金では大きな問題であるエロージョン・コロージョンが発生しにくいことを明らかにしました。