【背景】
内閣府「第5期科学技術基本計画(2016~2020年)」において、将来の社会像として、ICT(情報通信技術)を基盤とした「超スマート社会(Society5.0)」が掲げられています。その技術の1例として、本研究室で開発している橋梁の損傷同定システムを紹介します。日本の約70万橋ある橋梁数のうち、建設後50年を経過している橋梁の割合は、20年後には67%となります。一方、橋梁の点検が人手不足になりつつあり、橋梁の損傷同定システムのIoT・AI化は非常に重要で喫緊の課題です。
【システム構成】
本研究室では、比較的な安価なデバイスを利用して、橋の損傷同定システムのIoT・AI化を研究しています。図1にシステムの全体像を示します。損傷個所の同定を行うために、2つの方法を用いています。1つは圧電素子を使う方法、もう1つは損傷画像からAIで自動判別する方法です。圧電素子を使う方法では、橋梁に設置した圧電素子の振動データをZigbeeと呼ばれる無線通信デバイスで送信し、クラウドにデータを集め、Webで見える化します。損傷画像の方法では、数万枚のデータで20層のCNNに深層学習させ、亀裂を1から5にランク分けます。