滋賀県工業技術総合センターでは、県内企業への技術提供を目的に、平成29年からマイクロフロー合成に関する研究テーマを立ち上げ、ノウハウの蓄積・技術開発を行ってきました2)。合成法には、表1に示すように、スケール、方式があり、それぞれに特徴があります。一般的な実験器具を用いて、マイクロチューブ方式とマイクロCSTR方式双方の反応流路を作製し反応に適用すると、マイクロCSTR方式は、①流速と撹拌強度を独立で制御できる2)、②作製したマイクロチューブ方式よりもマイクロCSTR方式が撹拌強度が優れる2)、③マイクロチューブ方式で問題となる析出による閉塞がマイクロCSTR方式では起こりにくい、という利点があり、マイクロCSTR方式が高い汎用性を持つことが期待できます。現在は、共同研究先が開発した「マイクロフローCSTR1)」を用いて、どのような反応が可能か、どのような手順でバッチ反応をフロー化するか、といった企業様への技術提供の要となるノウハウを収集しながら、技術開発を行っています。今までに検討したエステル化、クロスカップリング(薗頭カップリング)で得た知見を基に、他の合成例への展開を視野に入れています。